20260418

道路に落ちるエビ

 ブンタウ2日目——バインコットと、シーフードマーケット通りの貝三昧

インペリアルホテルの朝食は、プールサイドのテーブルで食べた。

コロニアルな雰囲気の中、朝から選択肢が豊富だ。エッグスタンドもあるし、ヌードルコーナーもある。そして、バインコットがあった。

バインコット——ブンタウの郷土料理だ。僕の中でのバインシリーズの系譜はこうだ。まずバインミー、次にバインセオ、そして今回初遭遇のバインコット。ベトナム料理は「バイン」がつくだけで、なんとなく期待値が上がる。

CO BA 

朝食で出会ったバインコットが気になったので、昼は専門店に行くことにした。


GrabでホテルからCOBAという店へ。10分ほどで着いた。フロントビーチ寄りのエリアだ。

店に入ると、たこ焼き器に似た丸い鉄板が並んでいる。ただし、たこ焼きのようにボール状には焼かない。丸いくぼみの中で、米粉の生地を薄く皿状に焼き上げ、その上にエビや肉をトッピングする。焼きあがったら、レタスの葉っぱで巻いて、出汁のきいたタレにつけて食べる。

これが旨い。タレが特にいい。ベトナム料理全般に言えることだが、タレと出汁の使い方がうまく、これがあるだけで全体の味が締まる。レタスで巻くのも、さっぱりしていてちょうどいい。手を動かしながら食べるスタイルも楽しい。

相変わらず、ベトナム料理は裏切らない。



食後、フロントビーチ近くのシーフードマーケット通りを散歩した。

道路の所狭しと、巻貝、エビ、魚介類が並んでいる。観光客向けではない。明らかに地元の人向けの、生鮮市場だ。活きのいい証拠に、巻貝やエビが跳ねて、道に落ちている。落ちているが、誰もお構いなしだ。拾うでも避けるでもなく、普通に商売が続いている。ここは確実に地元民の通りだ。

しかしまあ、暑い。日差しが容赦ない。


涼みがてら、フロントビーチが見えるハイランズコーヒーで一休みした。

窓の外を見ると、イカ釣り漁船がたくさん停泊している。昼さがりだから、船はまだ静かにそこにいる。これらの船は、夜になると漁に出るのだろう。ブンタウのシーフードマーケットに並ぶ巻貝やエビは、こういう船が獲ってくるのだ。そう思うと、さっきの市場の光景と繋がった。

それにしても、フロントビーチとバックビーチは、雰囲気がまったく違う。バックビーチは白砂の長いビーチで、リゾート然としている。一方フロントビーチは、漁港の匂いがする。生活感がある。どちらがブンタウの本来の顔かといえば、たぶんフロントビーチのほうだろう。

そして、丸いタライのような形をした小さなボートがたくさん浮かんでいる。日本の海女さんが使うような、あの形だ。くるくると回りながら、水面に浮いている。貝でも獲るのだろうか。なんとも独特の光景で、しばらく眺めてしまった。


夜はバックビーチに戻り、Hải Sản Cô Thy 2でシーフードを食べた。

初日のLa Sirenaとは打って変わって、だいぶカジュアルな雰囲気だ。施設は大きく、客層もさまざまで、地元の家族連れあり、若者グループあり、観光客あり。こういう店のほうが、個人的には落ち着く。

巻貝も美味かったが、この日の主役はマテ貝だった。細長い形をした、あの貝だ。シンプルな味付けなのに、旨味がしっかりあって、気づいたら無心で食べていた。ブンタウに来て正解だったと思える瞬間のひとつだ。

ただ、ひとつだけ気になったことがある。

食べ終わった貝殻を、テーブルの上にそのまま置くのだ。周りの客を見ていると、みんな平然と殻をテーブルに積み上げている。文化の違いなのか、中国系のカルチャーの影響なのか、よくわからない。ただ、慣れていない身としては、正直、きたない。テーブルがどんどん殻だらけになっていくのを横目に、複雑な気持ちで貝を食べ続けた。


こうしてブンタウ2日目が終わった。

朝のバインコット、昼のシーフードマーケット、夜のマテ貝。振り返ると、ほぼ貝と海老しか食べていない。「ベトナムの熱海」という言葉でここに来たわけだが、海鮮という点では完全に期待通りだった。いや、期待以上だったかもしれない。





Hải Sản Cô Thy 2


マテ貝