2025年9月8日月曜日

バンコクの日本食が本気になった理由:タイ人の舌が変えた市場

1. 味がよくなった理由

この前、病院の待ち時間に、大戸屋に入った。筆者がバンコクに来た10年前にも大戸屋はあったが、正直、「タイにもあるよ」と言えるっちゃ言えるというレベルだった。

で、しばらく遠のいていたが、外来待ち時間ということで、サミティベート病院内の大戸屋に潜入した。

蕎麦と、カレーを食べた。

食べてびっくり。味がよくなっているではないか。

バンコクの日本食チェーンの味がよくなった理由は明確である。ターゲットが本物の味を知るtタイ人顧客に変わったからである。10年前なら「なんちゃって日本食」でも成り立ったが、今やタイ人の舌は肥え、日本の本当の味を知る層に向けて店が進化せざるを得なくなったのである。


2. データで裏付けられる傾向

日本に旅行するタイ人はものすごく増えている。去年の夏、JRの越後湯沢駅で、タイ語表示があるのにびっくりした。

タイの外食産業で伸びているのは、日本料理がダントツ。
  • タイの日本食レストランはほとんどがタイ人客をターゲットにしている。

  • 円安で日本人旅行者は減少している。また、在住者も物価高で日本食レストランで減り始めている。現地のタイ人が主要顧客である。

  • タイの外食産業で成長しているのは日本食。店舗数・売上ともに堅調に伸びている。

これらの事実から、タイ人顧客の評価が日本食チェーンの味向上に直結していることがわかる。


背景

  • 訪日タイ人旅行者の増加
     → 2019年には約132万人、2023年はコロナ後も100万人を突破、2025年上半期でも約68万人と堅調に増加。

  • 観光ルートの多様化
     → 東京・大阪・京都だけでなく、北海道・九州・東北など、地方を訪れるタイ人観光客も増えてきています。特に雪景色、温泉、桜の時期が人気。

  • 鉄道利用率の高さ
     → タイ人観光客はレンタカーよりも鉄道やバスを使うことが多いため、JRや私鉄がタイ語対応を進めています。

具体例

  • JR北海道JR東日本(仙台や盛岡など)では、駅の案内板に「英語・中国語・韓国語」に加えてタイ語を併記するケースが増えています。

  • 成田空港駅・関西空港駅・新千歳空港駅など主要空港駅ではタイ語表記が一般化。

  • 観光地最寄り駅(例:箱根湯本駅、富士急ハイランド最寄り駅、長野のスキー場アクセス駅など)にもタイ語案内を導入しているところがあります。


タイ人は、日本の本当の味を知りつつある。
日本通のタイ人が増え始めている。


3. 「なんちゃって」は淘汰される

かつては「タイ人は何も知らないだろう」と、簡易的な日本食で営業するレストランもあった。しかし、今はそう簡単には通用しない。舌の肥えたタイ人が増え、クオリティの低い店舗は淘汰され始めているのである。

もう、日本食は、物珍しさだけでは、売れない時代になっているのだ。しかしこの10年足らずで、本当に変わったと実感する。


4. 今後の展望

タイの日本食チェーンは、今後ますますクオリティを上げていくだろう。ターゲットはタイ人客であり、現地市場で本場の味を再現する努力は続く。
在タイ日本人はほぼ蚊帳の外である。日本人旅行者は少なく、カネもないため、タイ人が市場を動かす主役である。

日本食店舗数の伸び(店舗数・成長率)

2024年:5,916店舗(前年比+2.9%)

  • 日本貿易振興機構(JETRO)の調査によると、2024年にタイ国内の日本食レストランの店舗数は 5,916店舗。前年度から 165店舗増、伸び率は +2.9% でした。nationthailandタイランドハイパーリンクスJETRO

  • 地域別では、 バンコクおよび近郊 が +2.7%、その他地方が +3.1%、すべての地域で増加しています。JETRO

2023年:5,751店舗(前年比+8%)

2022年:5,325店舗(前年比+21.9%)

  • 2022年はさらに劇的で、前年から 955店舗増、伸び率は +21.9% と、JETRO調査開始以来で最大の成長率でした。QSR Media AsiaThaiger


💡 まとめ

  • タイ人の舌が肥えたことで、日本食チェーンは味を本格化せざるを得なくなった

  • 成長しているのは現地タイ人向けの日本食市場

  • 「なんちゃって日本食」は淘汰され、チェーンは今後さらに進化する


BKK -KOKO

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