実は昔、バンコクで在タイ日本人向けにビジネスをしたことがありますが、クレームが多すぎて辞めました。
ビジネスは生鮮食品の宅配です。なんとか軌道には乗って、いや、むしろものすごく流行り始めて、売り上げもかなり伸びたのですが。
何しろ、クレームが多すぎて。
お客さんから見たら、日本人向けのビジネスで、全て日本語ですし、僕が対応するので、日本人がやっているビジネスということで、日本と同じ感覚になります。
実際は日本人は僕一人で、スタッフは全てタイ人、オーナーもタイ人でした。
タイ人によるオペレーションはどうなるかというと、当日の欠品、配送忘れ、当日の間違い、納期に遅れるというのは、当たり前で、日常的なことです。
そんなことが起こっても、タイ人スタッフは全く慌てもしないし、驚きもしないし、やばいともなんとも思わないです。
当日欠品に関して、お客さんからは日本語で「今日使うつもりで注文しているから、今日持ってきてほしい!」と、怒りのクレームがきます。それも、僕が日本人で日本語だからです。お客さんにとっては、中の事情なんて知ったことではありません。また、いちいち僕が「すみません、ウチのタイ人が。。。」なんて言っても、それって適切な回答ではないです。
ある日、当日欠品に関して、いつものように発注元に慌てて連絡して、車で2時間かかるところを、僕が車飛ばして取りに行こうとしました。夜までに届けようと思ったのです。
そうしたら、タイ人オーナーが
「なんてバカなことをしているんだ? ただ無いって言えばいいじゃないか。」
というのです。日本人的な感覚では、なくても代替品をどうするとか、前の日にわかっていることであれば、それを伝えたりするとかが当然の感覚で、とにかく、ヒヤヒヤして毎日ドキドキしていました。
タイ人は、そういう、ヒヤッとするとか、ドキドキするとか、全くありません。
全くストレスを溜めることをしません。
タイ人によるタイ人向けの似たようなショップもありまして、それはどうなるかというと、当日欠品に関しては、
「オーダーの中で欠品があります。返金はウェブ上でしています」
などと、メッセージが届くだけで、その欠品の品物が何なのか? 返金はいくらなのか? さえ、知らされません。
とにかく、届いてないものは欠品だ。という商売です。
客も客で、それでも別にクレームしたりしません。
タイ人はビジネスする側も完全ではありません。その時はただ客に知らせるのみ。
タイ人は客側も、別に不完全なビジネスでもそれほどクレームしません。
つまり、タイ人は両サイドともストレスを溜めません。
もしかしたら、これがグローバルスタンダードなのかも知れませんが。
日本人の感覚だけが、おかしいのかも。
当日欠品でヒヤッとしたり、ドキドキしたりするのは、それだけ無駄に寿命を縮めていることなのかも知れません。
そもそも、そこまでカスタマー寄りのビジネスはもうオワコンなのかも知れません。