やりがい?
仕事に意欲があって、やりがいがあるということは、とても良いことですよね。
しかしながら、その概念は、もしかしたら日本独特かもしれません。
タイ現地の日系企業に勤める僕の友人の日本人マネージャーが、タイ人スタッフ達を前に朝礼をしました。
「弊社は、今まで、Aのサービスで、皆様の努力によって、計画を達成してきました!!」
「今期から、Bのサービスに、弊社は初めて参入します!!!」
「皆様にとっては、Bのサービスは初体験になりますが、今後の仕事の幅、キャリアの幅が広がる、またと無い、とても大きなチャンスです!!!!!」
「弊社はこれからも、従業員の皆さまがどんどん新しい事に挑戦できる環境、成長できる会社を目指します!!!!!」
友人の企業は、Aというサービスで業績を上げて、今期からBというサービスに参入するという計画を打ち出しました。それをタイ現地のタイ人従業員に向けて説明したという話です。この時期に、景気が良くて、とても良い話です。
ところが、このスピーチを聞いたタイ人スタッフたちが、ポカーンと口を開けたまま、ぼーっとしていました。
タイ人スタッフ達は、明らかにハッピーではありません。一体、何が起こったのでしょうか?
◇ 仕事が嬉しい人いるの?
そこで、タイ人マネージャーが、この日本人マネージャーの話を彼らに分かりやすく意訳というか、説明をしなおしました。
なぜなら、タイ人にとって、この話には補足が必要なのです。
タイ人マネージャー:「今、〇〇さんからのお話ですけど、日本人にとって、新しい仕事に挑戦するということは、ご褒美と同じです。」
タイ人マネージャー:「仕事が増えると思うかもしれませんが、新しい仕事を覚えられるということは、日本人にとっては、ご褒美をもらうことなのです。」
タイ人マネージャー:「ですので、〇〇さんは、皆さんもきっと喜んでいるだろうと思っていたので、それで嬉しそうに皆さんにこの話をしたのです。」
これが、タイ人マネージャーの補足的なコメントでした。
分かります??
新しいスキルが身についたり、仕事やキャリアの幅が広がることのできるチャンスというのは、日本人にとっては、意欲が湧くことで、やりがいのあることなのです。
ところが、タイ人にとっては、Aという仕事だけで充分なのに、なんでBという仕事までしなければならないんだ? なぜ仕事の幅が増えることが、ハッピーなんだ?
という、メンタリティだったのです。
つまり、今までの仕事を続けることで、別に良くて、わざわざ知らない仕事を覚えたくない、というのがタイ人の心理なのです。
この心理を知らずに、日本人、日本社会と同じようなスピーチをしていると、タイではうまくいきません。
タイ人をマネジメントするスキルというのは、日本人にとって、とても難しいことなのです。
どちらが、良いとか、悪いということはありません。
最近、僕は、むしろタイ人のリアクションの方が、正しいのではないか? とさえ、思うところがあります。
仕事とは?
人生とは?
みたいな、結構深い考えにもつながることだったりします。
こういう考えをすること自体も、タイに住んでいるからこそ、かもしれません。
◇ 良いことがあると信じる
では、タイ人は、ただ怠け者かというと、そんなことはありません。
仏教国で、仕事を真面目にすると、良いことがあると信じています。
みんなに優しくすると、良いことがあると信じているのです。
ただ、その価値的基準が、日本人の普通の感覚と外れています。
そこを、日本人は、タイに来る前に勉強すべきかと思っています。
ただし、日本人がそうであるように、タイ人も、全てのタイ人が同じような性格ではありません。もちろん、野心のあるひともいるし、意欲のある人も沢山いますし、日本人なんかよりもよほど頭の良い人も沢山いるのです。
個人的な感覚ですが、そういう、なんていうか、優秀な人は、みんな欧米やシンガポール、オーストラリアに出てしまって、タイに帰ってこないですね。。。
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