2020年6月21日

🏠 タイ 不動産バブルの前兆か

値崩れ間近 タイの不動産


いや、値崩れというか、適正価格に振れるかと思います。

例えば、日本人の多い地域にある日本人向け物件(アパート)が仮に7万バーツの家賃だとすると、その近所のコンドミニアムは同じような間取りで4万バーツ以下だったりします。この場合、コンドミニアムは適正価格です。

値崩れというか、適正価格に戻るということになるかもしれません。

アパートやコンドミニアムが立ち始めた頃のバンコクの物件はとにかく広くてゆったりとした間取りの部屋が主流でした。

バンコクで言えば中心地のアソーク、プロンポン、トンローあたりの古い大型マンションは間取りも300平米と言う部屋も珍しくありません。軒並み、築年数は20年以上立っているかと思います。

その後日本をはじめとする海外からの資本流入で、バンコクの広いお屋敷は次々とデベロッパーに購入されていったのかと思います。

その過程は、今でも垣間見ることができます。


まるでバブル直後の街並み


スクンビットのソイの奥に良くある大きなお屋敷。そこがいつの間にか解体されている。そして工事のスチール製のフェンスには、数年後に完成するコンドミニアムの完成図が。

まるでかつて日本でバブル崩壊後に起きた、地上げ屋による買い上げを彷彿とさせます。

昭和から続いていた街並みが、地上げによって軒並み高値で売り飛ばされ、上物を建設するために更地にしたのは良いが、バブル崩壊し、計画が頓挫。

その後、更地だけが残り、苦し紛れにコインパーキングになったり。

昭和から残る街並みが人もいない、店も無い、物騒なコインパーキングとマンションしかない街に変貌するようなことは、もう無数に見てきました。


アパートはB2B、コンドミニアムはB2C


バンコクのアパートはB2Bビジネス、バンコクのコンドミニアムはB2Cビジネスに似ていると思います。

アパートは、アパート運営会社が不動産屋や、日本人をはじめとする対企業にアプローチします。タイ語も英語もできない駐在員向けです。駐在員にとっては、会社が負担するので、家賃の金額には特に関心はありません。それよりも日本語でのサービスは可能か、便利な立地か、日本人学校へのバスのルートか? などなどが関心事です。逆に言えば、アパート側は家賃の値引きをする必要はあまりありません。また、アパートの住人はあまりクレームも言いません。英語、タイ語ができないからです。何かあれば、日本人向けの不動産屋に言う事になります。そう言う事で成り立っているビジネスです。

コンドミニアムは、基本的に分譲物件なので、部屋ごとにオーナーが違いますし、建物全部を管理する仕組みはありません。そのために、住人はオーナーと直接交渉したらい、不動産屋もオーナーを相手にする事になります。また、このオーナーもタイ人だったらい外国人だったり、あるいはタイに居なかったりします。なおかつ、借り手が日本人だろうと何人だろうと、特に対応を変えることはありませんし、親切に対応する人もいるとは限りません。アパートであれば、管理会社が一手に引き受ける法律的な書類なども、一個一個オーナーを相手にしなければならず、日本人向け不動産屋も日本人駐在員にはコンドミニアムを勧めないのです。


日本人には難しい、コンドミニアムオーナーとのコミュニケーション



ただし、コンドミニアムは安いです。て言うか、適正価格です。住人も日本人駐在員と言うよりは、欧米人だったり、中国人や他のアジア人だったりします。オーナーにとっても空室は避けたいので、馬鹿高くしません。また、管理も行き届いているわけでは無いので、住人も自分でクレームを言わなければなりません。そこで、英語もタイ語も、タイの文化も知らない日本人はまず借りないと言う事になるのです。日本人駐在員って、いわゆる一般的な日本人です。別にそれが悪いわけではありません。今までは会社の力で、現地の不動産エージェントや、現地のビザエージェント、現地のコンサルなどを使って、法的にも、医療にも、教育にも、全て本人に変わって、会社がセットアップしていたのです。本人は何も悪くありませんが、ただ、本人にはそれらを自分の力でやることは難しい人材が多いです。そんな人たちが、自分でコンドミニアムのオーナーに対峙するなんて、ちょっと考えにくいです。つまり、自分の会社が鉾となり盾とならなければ、難しいでしょう。駐在員がから会社をとったら、鉾と盾がない一般的な日本人になりますので、難しくなります。



日本人駐在員の減少


その、アパートがこのコロナで、どうでしょうか。何しろ日本人駐在員の減少に伴い、部屋が空いているのです。

日本人が多い中心地にある超大型のアパート。ほぼほぼ日本人駐在員で埋まっていて、もう20年以上も空室知らずだったアパートの前を通りかかったら、「空室あります」と言う看板を目にしました。 これは、今までに無かった現象です。

駐在員の友達から、このコロナでプロジェクトが中断して、日本に本帰国する事になったと言う人が沢山発生していると聞きました。それはどうやら、この看板を見ても本当のことなのだろうと思います。


この後、空室が多くなった大型アパートはどう言う手に出てくるのでしょうか。

空室を分譲するか、家賃を大幅に下げるか? と言う事になるでしょう。

家賃を大幅に下げざるを得なくなった時に、問題になるのが、すでに高い家賃で以前から同じ物件に住んでいる日本人駐在員たちです。本人たちにとっては、新しい人だけ家賃が安くなることは痛くもかゆくも無いです。なぜなら、会社負担だからです。ところが、駐在員の会社側はコスト削減に乗り出す事でしょう。おそらく、住宅補助の限度額を下げたりする事になるかもしれません。

そうすると、駐在員は馬鹿高い物件にはもう住むことはできません。

だからと言って、間取りが狭い所には住みたくありません。

間取りが広くて高く無い物件はコンドミニアムですが、無理でしょう。オーナーと英語やタイ語でのコミュニケーションができません。住人同士のトラブルも絶えないでしょう。今までほぼほぼ日本人の中で生活していたのが、突然中国人やインド人を相手にしなければならなくなるからです。

不動産屋にとっても、安くて美味しく無い物件の住人から色々クレームきても対応しなくなるでしょう。


ポストコロナのニューノーマルはむしろノーマル?


こうして、結局生き残るのは、ハード(物件)もそうですが、ソフト(住人)も英語やタイ語などがある程度できて、会社にいちいち頼らなくても自分である程度のことはできるような、海外慣れしている人が駐在に来る事になるかと思います。

ただ、駐在はほぼほぼ日本企業です。英語もタイ語もできるようなソフトスキル満載の人材が、日本企業にそのまま残るでしょうか? 

多分、外資に転職していると思います。

こうして、どんどんどんどん、自然な流れに流れるかと思います。

水は高いところから低い所に流れると言う当たり前の現象が起こってくるかと思います。


英語もタイ語もできないのにタイ駐在っておかしくない?

 
今まで 「会社やエージェントが面倒みます」  不自然

   ↓   ↓

コロナ後 「おかしいです」 自然


このアパート、ボロいし管理も悪いのに、家賃7万バーツって日本円で25万円くらい? それはおかしくない?

今まで  「おかしいけど、それがタイです。タイだから。」 不自然

   ↓   ↓

コロナ後  「おかしいです」 自然


多分、コロナ後のニューノーマルで、不自然だったことが、自然に振れるかと思います。ポストコロナによる「ニューノーマル」はこの場合、普通に「ノーマル」になるだけのことかもしれません。