土曜日、バンコクのサミティベート病院で告げられた一言に、頭が真っ白になった。
うちの子が、体育の授業で突き指をしてから1ヶ月以上。
その間、海外遠征もあって、バレーボール部の試合にも参加していた。
「痛くない」って言ってたし、楽しみにしていたし……。
だけど実は、骨が折れていた。しかも手術が必要だった。
自己嫌悪の波が何度も押し寄せる。
「もっと早く受診していれば、手術しなくて済んだんじゃないか」
「いや、初期から折れてたなら結局一緒じゃ?」
「でも、少しは軽く済んだかもしれない……」
こういうとき、神様に答えを聞けたらいいのにと思う。
でも現実には、ただただモヤモヤと自己反省の渦に飲まれるしかない。
手術は来週の土曜日。
日曜。
気分転換に、家族でバンナーの天ぷら屋「やまや」へ。
午後2時近くでもそこそこお客さんがいるのは、バンコクの和食レベルの高さゆえか。
僕は米を避けて、アラカルトで天ぷらをちまちまと注文。
奥さんと子は定食でお腹いっぱい。夜は軽めに済ませることに。
でも僕は……普通に腹が減った。
冷凍庫から、かつて僕が作った自家製餃子を発掘。
奥さんが焼いてくれた。
さらに、ベトナムで買った鴨のパテの缶詰を発見。テンション爆上がり。
あれ、これ、くるくる回す缶切りじゃん。何年ぶりだよ。
缶を開けた瞬間、芳醇な香りがふわり。
こ、これは……メルロー1本、開けるやつじゃないか。
結局、鴨のパテは家族で争奪戦に。
子供も「これ、おいしいね」とニコニコ。
──うん、たぶん君は将来、いい飲んべえになると思うよ。
[まとめ風コメント欄風]
子どもの怪我、親としての後悔、誰にでもあること。
それでも「日常」は容赦なく進んでいく。
鴨のパテがちょっと救ってくれる夜もある。