初 恋
島崎藤村
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
10月30日は「初恋の日」だそうです。これは島崎藤村の詩、「初恋」にちなんでおります。
島崎藤村ってだれ?
という方は、こちらをご覧ください。
島崎 藤村(しまざき とうそん、1872年3月25日〈明治5年2月17日〉 - 1943年〈昭和18年〉8月22日)は、日本の詩人、小説家。本名は島崎 春樹(しまざき はるき)。信州木曾の中山道馬籠(現在の岐阜県中津川市馬籠)生まれ。
『文学界』に参加し、ロマン主義詩人として『若菜集』などを出版。さらに小説に転じ、『破戒』『春』などで代表的な自然主義作家となった。作品は他に、日本自然主義文学の到達点とされる『家』、姪との近親姦を告白した『新生』、父をモデルとした歴史小説の大作『夜明け前』などがある。
島崎藤村 - Wikipedia
それは良いのですが、なぜ今日が初恋の日かというと、こちらです。
島崎藤村ゆかりの宿である長野県小諸市の中棚荘が制定。1896(明治29)年のこの日、島崎藤村が『文学界』46号に『こひぐさ』の一編として初恋の詩を発表した。毎年、初恋をテーマとした「初恋はがき大賞」等のイベントを行っている。
藤村の「初恋」は詩集、『若菜集』に載っているのです。若菜集とは、
『若菜集』(わかなしゅう)は、島崎藤村の処女詩集。1897年に春陽堂から刊行。明治時代に作られた。七五調を基調とし、冒頭に置かれた「六人の処女」(「おえふ」「おきぬ」など)のほか51編を収録。「秋風の歌」や「初恋」が特に名高い。日本におけるロマン主義文学の代表的な詩集である。 wikipedia
そう。この詩は、明治時代に作られた詩なのです。文芸思潮的には、ロマン主義的文学です。まあ、まさにロマンですよね。ロマン主義とは、という人は、こちらをご覧ください。
日本では〈浪漫主義〉の字をあて,明治20年代に森鴎外の評論活動や北村透谷,島崎藤村らの《文学界》の運動として現れた。同30年代には与謝野鉄幹,与謝野晶子らの《明星》を中心とする浪漫主義詩歌が全盛をきわめ,薄田泣菫,蒲原有明や評論では高山樗牛が活躍した。自然主義勃興後は《スバル》《三田文学》を中心とする耽美(たんび)的な文学運動へと継承された。 ーーコトバンク
さて、では、「初恋」を自分なりに細かく見てみます!
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